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2012年度(平成24年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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竹材加工関連技術に関する共同研究

佐藤幸志郞・吉岡誠司 製品開発支援担当

Collaborative research of processing technology for bamboo materials

Koushirou SATOU・Seiji YOSHIOKA Product Development Group

要 旨

大分県の伝統的工芸品「別府竹細工」の産地振興を目的に,産地の生産者組合である別府竹製品協同組合と共に新し い別府竹細工の技術マニュアルの内容について共同研究を実施した.平成 2,3,11 年度に大分県(別府産業工芸試験 所)が発刊した「竹編組技術資料」をベースとして,現在の別府竹細工の製作に必要となる内容について情報収集と整 理分類を進め,竹製品に関する最新の技術動向を反映した新しい技術マニュアルのコンテンツを作成することができた.

1. は じ め に

大分県の国指定伝統的工芸品「別府竹細工」は,観光 地別府温泉の土産品に留まらず,大分県を代表する工芸 品として全国的に認知されており,近年では海外にも多 くの愛好家をもつようになっている.

一方で職人の高齢化や市場の縮小など,他の伝統的工 芸品産業と同様の課題を抱え,後継者の育成,技術の継 承,販路開拓の 3 課題に対して産官の関係機関が技術教 育機関(竹工芸・訓練支援センター)の設置を初めとし た各種支援事業をおこなってきた.その一環として,平 成 2 年~3 年に「竹編組技術資料 基礎編・応用編」,平 成 11 年に「竹編組技術資料 アジアと日本の竹文化資料 編」を大分県(旧・別府産業工芸試験所)が別府竹製品 協同組合をはじめとした産地業界の協力の元で編纂した.

※平成 2~3 年度と平成 11 年度に編纂された竹編組技術資料について

(1)基礎技術編(H2)

二次元的な竹編みの技法 65 種類について説明

竹材・道具・材料加工について写真で説明

(2)応用技術編(H3)

三次元的な竹編みの技法 25 種類について写真で説明

縁巻き・籐巻き・手・柄の技法 25 種類について説明

竹材諸性質・製竹・着色と仕上げ・塗装・さび付け・成形・接着・

機械・保存について写真で説明

(3)アジアと日本の竹文化資料編(H11)

アジア各国の伝統竹製品等を写真で説明

日本各地の伝統竹製品等を写真で説明

産地の従事者に当時無償で配付した「竹編組技術資料」 は,初心者から熟練の技能者まで竹細工制作の際にハン

ドブックとして使用され,現在でも従事者のバイブル的 存在として活用されている.また,竹工芸・訓練支援セ ンターで実施される各種技術教育においても教材として 活用されるなど,技術の継承手段として別府竹産業の活 性化に貢献してきた.

「竹編組技術資料」を発行してから 20 年以上が経過し, 数年前から新規従事者用の予備在庫が底をついたことを きっかけとして産地の再発行ニーズが高まり,伝統的工 芸品産業振興事業で別府竹細工の振興・発展に取り組ん でいる別府竹製品協同組合が新たな発行作業の主体とし て準備を進めてきた.

ベースとなる「竹編組技術資料」のコンテンツは 20 年以上経過したものである.竹工芸産業を取り巻く生産 技術を中心とした社会環境は大きく変化しているため, 今回の再発行においては,表面処理や保存方法等に対し て最新の技術動向を反映させる必要がある.また,「竹編 組技術資料」掲載の編組工程以外にも効率的な工程が存 在する可能性があることが,生産者組合内部の準備調査 で判明している.

今回の共同研究では,竹材加工技術に関する各種情報 を生産者組合と当センターが共同で収集・整理して,後 継者育成や技術継承に資する,今後の産地振興に不可欠 な技術資料のコンテンツ作成を目的とする.

2. 研究方法

2.1 編組技術,応用技術(縁巻き等)の把握とデジタル

データ化

「竹編組技術資料」は,産地の多くの従事者がハンド ブックとして使用する中で,掲載内容より生産性が高い 手法が存在する可能性があること,掲載当時とは利用さ

1

(2)

れる手法や道具に変化が見られること,その他編組技術 の選択・分類・整理・掲載の方法等,様々な懸案事項が 発生している.

生産者組合と共同で「竹編組技術資料」掲載の 115 種 類の編組工程(二次元的な竹編みの技法 65 種類+三次元 的な竹編みの技法 25 種類+縁巻き等周辺の技法 25 種類) について確認を進めたところ,特に大幅な修正を要する 2 種類の編組工程「四つ目崩し」「千代田編み」の存在が 判明した.上記 2 種類について,現場での編組工程の撮 影と,グラフィック作成ソフトウエアによるイラストレ ーション化を実施し,新たな編組工程コンテンツを作成 した.

Fig.1 千 代 田 編 み の 新 工 程

また,20 年前の資料には掲載されていても,現在は生 産現場で使われていない道具,機械について確認すると 共に,別府竹細工の産地で広く普及しながら,「竹編組技 術資料」に未掲載であった輪弧編み用の「うずら立て」 等の道具写真を収集した.

Fig.2 う ず ら 立 て

更に,「竹編組技術資料」の印刷版下は現存しておらず, 現在の PC で利用できるフォーマットでの原稿データも 作成されていなかった.

残されていた古い PC や古いワードプロセッサーの原 稿データ,ネガフィルム,紙焼き写真等のアナログ中心 のコンテンツを収集・蓄積・整理し,収集した全てのコ ンテンツについてデジタルデータ化を実施した.データ の作成フォーマットは,現状のグラフィックデザイン, 印刷分野で業界標準として使用されている以下の PC ソ フトウエアを使用した.

・イラストレーション作成 Adobe Illustrator CS3 ・ページレイアウト作成 Adobe InDesign CS6

2.2 竹材保存,着色,竹資源の活用等の竹材利用技術 の最新の技術動向の把握

「竹編組技術資料」掲載から 20 年以上が経過した竹材 保存等各種周辺技術については,最新の技術動向を把握 し,必要があれば今回作成する技術資料に反映する必要 がある.また前回は掲載していない竹細工制作の最上流 工程としての竹林における竹の管理・伐採や,染色廃液 や薬品の取り扱い,竹資源活用のための県内各地域の取 りくみ等についても,竹資源活用に有用な知識であるこ とから技術情報を収集することとなった.今回新規に情 報収集とコンテンツ作成を行った項目は以下のとおり.

・竹山の管理と伐採

・染色廃液や薬品などの取り扱いおよび廃棄 ・県内の地域観光文化の中での竹利用

・インテリア素材としての竹の持つ演出効果事例 ・生産者組合(別府竹製品協同組合)の沿革

Fig.3 新 規 コ ン テ ン ツ 例

(3)

また,新規ではないが「竹編組技術資料」掲載の竹材 の諸性質と竹材の保存に関するコンテンツについても, 新たな知見に基づき全面的に改訂した.

3. 結 果 及 び 考 察

共同研究の結果,竹材の性質,加工技術,保存,着色 等のコンテンツが最新の技術動向に基づいてリニューア ルされると共に,地域振興やインテリア素材としての活 用等,竹資源の新たな活用についても情報収集が進めら れたことにより,編組を中心とした別府竹細工制作技術 の体系的整理とデジタルコンテンツ化が達成された.

今回の成果は,生産者組合により新たな産地の技術マ ニュアル「別府竹細工技術資料集」として,経済産業省 の伝統的工芸品産業支援後継者育成事業の助成を受けて 印刷され,県内竹産業新規従事者等を対象とした後継者 育成現場での活用が予定されている.「竹編組技術資料」 では基礎編と応用編に分冊されていた内容が整理統合さ れた合本として,竹細工教育現場での教科書や,産業に 従事するベテラン職人が編みながら参照するハンドブッ クとして活用されることとなる.

Fig.4 別 府 竹 細 工 技 術 資 料 集

今後成果が活用されることにより,生産者組合を中心 とした産地の商品開発プロジェクトの活性化や,産地の 後継者育成活動が活性化することを期待したい.

参 考 文 献

(1)竹編組技術資料 大分県 (1990,1991,1999)

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